カミラ救出作戦2
何とか大怪我をすることなく、21階の入口から順調に東に進んだユリアンネ達は野営の準備をしている。
「マンファン分隊長達は全然見かけなかったな」
「私達が分かるぐらいなら、敵の“蒼海の眼”にもバレるだろうし、信じて待つしか無いでしょ」
「あぁそうだな」
この野営では、以前のように領軍や他の冒険者に声をかけられることも無く、無事に夜を明かすことができた。十分な魔力回復を期待するため、魔法や武技を使うユリアンネとシミリートは見張り番の時間を減らしたのだが、他のメンバも含めて、いよいよ今日は“蒼海の眼”に対峙する緊張から精神はたかぶっている。
そして今日も半日ほどかけて東に進み、南東角あたりに到着する。こっそり別口で進んでいるはずのマンファン達が場所を把握しやすいように、また待ち構えているはずの相手に気づいて貰うためにも最後はゆっくり歩いたつもりである。ただ周りを見渡しても誰もいるのが見えない。
「まさか、迷宮に誘き出された間に街中で!?」
「いや、狙うべきユリがここに居るから違うだろう」
「おーい、指示通り来たぞ!カミラを返せ!」
前にも顔を見られているヨルクが叫び、シミリートとジーモントはユリアンネと同様に顔を隠したままにしている。
「随分と遅かったじゃないか。まぁ素直にやって来たことは褒めてやろう。薬師をこちらによこしな」
岩陰から5人の男達が出てくる。そのうち2人は以前に尾行をしていた者達である。
「まずはカミラの安全の確認が先よ!」
「指示できる立場と思っているのか!?だが、そうだな、これからしっかり働いて貰うのだから少しぐらいは、な」
後ろに合図をすると、腰の武器は無い姿のカミラが、隣の男の片手剣で脅されながら進み出てくる。




