孤児院の見学2
想像していた規模より大きく、孤児の数も数十人どころか3桁の数であったので、差し入れのつもりの串焼きを配っても行き渡らないことが分かってしまう。
「あの、こちら少ないのですが夕食の足しにでも」
串焼きの束を魔法の袋から取り出して驚かれるが、それ以上に感謝される。
「串から抜いてお肉を分けさせてもらいますね。子どもたちも喜びます」
「それとこちらも些少ながら」
ユリアンネが金貨の入った布袋を差し出す。
「お気持ち、大変ありがたく存じます。子どもたちに役立てさせていただきます」
おそらく後で袋の中身を見て驚くのだろうとシミリートは思うが口には出さない。
「子どもたちは本当に元気に広々したところを走りまわっていたぞ」
「そうよ、みんな笑いに溢れていたわ」
「服は傷みもあったけれど、ちゃんと洗濯しているのも分かったわ」
最初の視察に行った4人がその旨を宿で待っていた仲間たちに伝える。
「100人以上もいる孤児院って」
「あぁ、差し入れをするときには大量に買っていかないと、な」
「ダク。あそこならばあなたたち6人をお願いしても良いと、本当に思えたわ」
「そうか。ミーラたちもそう思って貰えると良いな。さっそく明日にでも一緒に連れて行ってくれるか?」
「もちろんよ。今度こそみんなに行き渡るように買い出しをしていかないと」
横で聞いていたジーモントは久しぶりの大人数の料理に、何を振る舞おうかと考えだしていた。その様子をカミラが覗き見て、明日は早朝から市場で買い出しであると心づもりするのであった。




