アンダロフでの孤児院3
「孤児院?いや!ユリたちと一緒が良い!」
今までは年少の3人には詳しいことを話していなかったが、方針も決まったのでダニークが伝えたところでの反応である。
言葉にして嫌がったのは女の子のミーラであるが、もう1人の女の子であるイリーは何も言葉にせずに泣き出した。残る男の子のイゴーは理解できなかったのか、見える反応は無い。
「大丈夫よ。この街に私たちも残るし、ときどきは差し入れを持って遊びに行くから」
「そうだ、俺の料理を子供たちに振る舞いに行くぞ」
ユリアンネだけでなく、胃袋を掴んだつもりのジーモントも話に入ってくるが、女の子2人の反応は好転しない。
「ま、俺たちは孤児院という言葉にあまり良い思い出はないからな」
「大人からの扱いが、みたいなことを言っていたわね」
「あぁ、機嫌が悪ければ当たり散らされるのは普通。下手すると殴られたり蹴られたり……思い出したくもない」
ダニークの言葉を聞くと、預けるデメテル神殿の孤児院の様子を先に見たくなる。
「まずは私たちが見に行くわ。その後にみんなも一緒に行きましょう」
泣き疲れた幼児が眠りについた後、ダニークたちにその旨を告げる。
「ま、国や街によっては孤児院の様子も違う可能性もあるからな。孤児院から逃げ出したと思われる子どもたちを街で見かけない事実から、良い孤児院である期待はするが」
「差し入れのことを考えると、まずは食べやすい屋台で買ったものを持って行くか」
「ならば、俺たちが一緒に行くぜ」
やはりというか、ヨルク、そしてゾフィが一緒に来ることになる。
屋台で買い出しの際に食べ歩くのが目的にかわらないように要注意だと、目配せをするシミリートとユリアンネたち。




