孤児の行方の迷走3
「で、どうする?」
子どもたちを寝かした後は、大人たち8人だけの集まりとなる。
「子どもたちを戦争から遠ざけるのだったら、ルノレシエ国の方に行って。何だったらビザリア神聖王国でも孤児院はあるのよね?」
「はい、私も神聖王国の孤児院で育ちましたから」
「ここに来るまでは、あの小さな子どもたちでも何とかなったのだし」
「いや、とは言っても長旅を?」
「じゃあ、このドラゴレシエ国に半年や1年いるか?オリガ王女の思惑通りになりそうだが」
「もともとトリアンにすぐに帰ることはできないわ。旅はまだまだ続く予定だったのだから、半年や1年くらいここに居ても良いわよ」
「それは……」
「サンダーも良いの?私たちはトリアンに戻るのが遅れても構わないけれど」
「それはそれで良い経験になるかと」
「じゃあ、小さい子を連れて西方に向かうか、子どもたちのためにもこの国に留まって魔物を狩って避難民たちが独り立ちできるようになるのを見守るか」
「シミ、その言い方だと結論は決まってしまうわよ」
「ま、どんな言い方をしても一緒よ」
「みんな、ごめんね。私があの子たちのことを言わなければ……」
「ユリ、それはみんなで決めたことよ。良いじゃない。トリアンでやろうとしていた孤児院の設立の練習だと思えば」
「流石はカミラ。良いわね、練習か。じゃあ、私は服屋もやってみようかしら」
「お、じゃあ俺は宿屋、というより料理屋でもやろうかな」
「良いじゃない。私は細工物を出品するし、ユリは薬屋ね」
「俺は?」
「シミは護衛でも、魔物狩りでも、子どもたちと遊ぶでも、好きなことをしたら良いじゃない」




