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【書籍・漫画化】転生薬師は迷宮都市育ち  作者: かず@神戸トア
元薬学部受験生

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カミラ救出作戦

「今回は前回以上に魔物との戦闘を回避して進むわよ」

索敵役のゾフィが気合いを入れて宣言をする。そうは言っても、1日以上の行程の中で戦闘を完全に避けることは出来ないため、1体や2体の少数の魔物であれば倒すことで、迂回先での新たな敵との遭遇確率を下げながら進む。

「やはりカミラ1人少ないだけでも、攻撃力が下がって、倒すのに時間がかかるな」

「そうよ、早くカミラを取り返すわよ!」

「あぁ」


どこかから“蒼海の眼”に見張られていると思っていることや1人減っている焦りなどからどうしても怪我が増える。ユリアンネはこの準備期間でいつも以上の量のポーションを調合してこの救出作戦に臨んだので、怪我の回復のためのポーションが不足するわけではないが、怪我をしていること自体も焦りにつながり皆が悪循環に陥っている。

「みんな、ちょっと落ち着いて。無理なことは分かっているけれど。ちょっと大きく息を吸って吐いて。遠くを見て。あら、あれは領軍ね」

「そうだな。あっちは“深緋の戦隊”だな」

「……」

「ユリ、どうした?」

「うーん、何か上手くやる方法が浮かんだ気がしたのだけど……」

「他の冒険者クランを巻き込むのか?変な恨みを買うとますます大変なことになるぞ」

「そうだ、ポーションを格安で一定数納品する、上納金を定期的に払う、という落とし所を交渉する方が現実的だ。変なことを考えるなよ」


万が一カミラを見殺しにしても、今度はゾフィ、ヨルクと狙われる対象が変わるだけだろう。かといってユリアンネのみを“蒼海の眼”への生贄にする選択肢を取るわけにもいかない。

その落とし所が上納金などの案であった。元々が金銭的な目的であるならば、有効な交渉カードである可能性がある。もちろんそれで時間稼ぎをしている中で、何か別件で尻尾を掴んだ衛兵団が“蒼海の眼”を壊滅してくれるのを期待している。


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