孤児の行方の迷走
王女オリガから、ドラゴレシエ国とゾリヴィヤ国では孤児を引き取るのは難しいとの言葉を告げられたユリアンネたち。
「じゃあ、いっそのことハンソク王国にでも連れていく?西方ならフィジの伝手も期待できるかも」
「カミラ、それも考えたけれど、言葉が違うのよ。子どもたちには酷よ」
「じゃあ、オンデンスク国にでも行く?まだ戦争になっていないゾリヴィヤ国を通って」
「……その案は否定できないわね」
「私としては、皆さんが敵国に向かわれるというのをおすすめはできません。その立場の言葉は素直にお聞きいただけないと思いますが、一応。彼の国は軍事国家です。孤児は兵士に育て上げると聞いています。しかし、現時点で交戦国であるイスクラディヤ国の生まれと知られた際にどのような扱いを受けるかは……」
「それはそうよね……」
オリガの言葉には現実味があり、オンデンスク国に連れていくのも孤児たちのためになるか疑問である。
「先ほどは数年いて貰いたいと欲を言いましたが、避難民たちが農業や漁業をこの国で開始できれば、食料問題も落ち着いてくると思われます。半年から1年、この国で魔物を狩って食料を確保しながら、待って頂くのはいかがでしょうか?」
「……少し考えさせて頂けますか?」
「その頃には、オンデンスク国とハンソク王国がイスクラディヤ国の攻略を諦めているかもしれないですし」
「その可能性はあまり期待しないようにします。共和制のグダグダさを狙われたのでしたら、そんな短期間で改善すると思えないですし」
「やはりそう思われますか……」
ユリアンネとオルガの2人だけが納得している何かは、周りからは理解されていない。




