ドラゴレシエ再入国2
相変わらずドラゴレシエ国では魔物の退治が間に合っていないようで、街道の近くであってもゴブリンを見かけることがある。
仕方がないので、シミリートとユリアンネが目についたゴブリンを退治している。
「ゴブリンは食べられないから、討伐証明部位と小さな魔石だけなんだよな。回収も手間に思ってしまう」
「シミは贅沢になったわね。子どもたちの解体の練習にするかを、ダクに相談しましょうか」
「魔物の解体って慣れておいた方がいいと思うけれど、どうする?」
「確かに。それに角兎くらいなら狩れるようになっていた方がいいんじゃないか?」
大人たちは子どもたちのことを思っての発言ではあるが、今までは孤児とはいえ街中で暮らしていた子どもたちである。
一番年長のダニークを中心に、子どもたちだけで相談をさせてみる。
「話としては分かった。ただ、まだ小さい子もいるから、俺を含めた年長の3人だけで解体を学んでみる。そのうち下の子も大きくなったら教えてあげられるから」
「なるほどね。じゃあ、まずは血抜きからね」
魔法の袋に入れてきたゴブリンの死体を取り出すシミリートとユリアンネ。解体用のナイフを手渡し、ゴブリンの討伐証明部位である右耳の切断、そして胸を開いて心臓付近にある魔石の取り出しを経験させる。
「うへ。結構くるものがあるな」
「見た目が人間の子どもみたいだしな」
「う……おぇ!」
やはり魔物とはいえ、人型であるゴブリンの初めての解体では、吐いてしまう子もいた。小さな子どもたちとは離れた場所で作業したのは幸いだったようである。
しかし、それでもそこでやめずに続けるだけ意思が強いことはわかる。
「よく頑張ったわね。先に角兎でやれば良かったわね。ごめんね」
孤児たちを≪洗浄≫魔法で綺麗にしながら、褒めることを忘れない。




