ドラゴレシエ再入国
関所には、オンデンスク国がイスクラディヤ国に攻め入ったことが伝わっているようで、難民の受け入れを懸念する話がされている。
自分たちは先日も通ったところで、オリガ王女との繋がりがある戦馬8体ということを覚えられていたので、その懸念の対象にはなっていない。
しかし、小さな子どもが6人増えていることの確認をされる。
「この子どもたちのことでオリガ王女とご相談をしたいのです」
オリガに貰った王家の紋章の入った名刺メダルを見せると、王都アンダロフに向かう許可は得られる。
「ここから先って、前回は馬車で移動して来たから、馬に乗ってみると新鮮ね」
「確かに。でも普通に農地や草原などしかないけれど、な」
「こんな土地でも海につながる場所が欲しいオンデンスク国にとっては魅力的なんだろうな」
「ちゃんとゴブリンなどの魔物が駆除されていれば通行にも良いのだけど、な」
農地になる土地ならばそれだけで貴重と思ってしまう、平地の少ない日本の記憶があるユリアンネ。
ただ、人口がまだまだ増えても対応できる余地のあるこの世界では、魔物の少ない土地の方が価値があるようである。
そのように愚痴が出ながら、街道からも見かけるゴブリンの退治を続けている一行。
8人と8体の戦馬であった“選ばれた盟友”。そこに6人の孤児が分散して二人乗りをしても2人は余る。
結果として、一番戦闘力のあるシミリートとユリアンネの2人が孤児との二人乗りはしないで、周りの魔物を狩りにいき安全を確保する役割となっていた。




