ダニークの決断2
「よし、そうと決まれば、この港から脱出だな」
シミリートが決断を覆らないように、すぐに前に進めるように発言をする。
「そうね。私たちは宿に戻る必要はないわね?」
「あぁ、金は泊まる前に、昨夜に払ってある。荷物は袋に入れている。今夜は泊まらないとの一言をいわない不義理があるくらいだな」
「宿の人だって、こんな戦争が始まって逃げ出しているかもしれないわよ。高級宿だったんだから、略奪の対象になると」
「それもそうか、ははは」
このような状況なので、少しでも笑いに持って行こうとする仲間たち。
「よし、ダクたちは何かあるか?この街に隠しているものとか、回収したいものは?」
「私の宝物!」
「いや、それは」
「嫌よ!私の宝物!」
小さな女の子の発言をダニークが止めようとするが、一度言い出したことは止まらない。
「じゃあ、逃げる前にダクたちの拠点に案内して貰えるかな?今日は連れて行ってくれるよな?」
「分かったよ。でも狭いから2〜3人だけだよ」
「そうと決まれば。その近くの道の広いところまで案内してくれ。後になるほど道が混むだろうから」
シミリートたちが自分の愛馬を手繰り寄せて、子供たちを1人ずつ相乗りさせる素振りをする。
「え?こんな高いところ」
通常の馬にも乗ったことがない孤児たちは、さらに大きな戦馬の背中に乗ることに驚いている。
「大丈夫だよ。この子たちは賢いから、みんなのためにゆっくり動いてくれるって」
「それに、道も混むからスピードも出せないよ」
大人たちは1人ずつ優しく馬の背に乗せて、自身も乗り込む。




