セントヤールへの襲撃2
「言ったでしょう?私たちは強いのよ。あなたたちくらいは守ってあげるわよ」
「そうよ、だからここに居てね」
先ほどのジーモントの口調は強かったかも、と思うユリアンネやゾフィが優しく子供たちに声をかける。
少し遠くに待機をさせていた戦馬たちも、様子が気になったのか自分たちの方に近づいてきていつでも乗れる状態ではある。
「下手に街の中にいるより、人と接触の少ないこの場所の方が安全だろうな」
「海から攻めて来ているのに、船で海に逃げ出そうとする奴もいないだろうな」
ダニークも不安はあるものの、大人たちに言われた言葉を考えると、確かにここにとどまった方が安全かもしれない、と思い直す。
「みんな、ここに居よう。強い魔法使いもいるからな」
ダニークに振られたユリアンネは、使い魔のシルヴィスをワイバーン形状に変化して空にあがらせる様子を子供たちに見せる。
「ほら、私の使い魔に様子を見に行かせるわ。みんなは安心してここに居てね」
小さな子供の横に座り背中をなでるようにしながら、シルヴィスを沖の方に飛ばす。
「これは!」
上空から見ると流石に様子が良くわかる。
ここイスクラディヤ国の軍船と思われるものはまだ燃え上がった船の近くに居ない。
燃えている船も、たまたまその近くを航行していただけの商船と思われる。
そしてその奥に大きな船が数十隻。それらがこの港に向かって進んで来ている。
その船に掲げられた船のマークは見覚えがある。
「ハンソク王国……」
「え?ユリ、ハンソク王国の船が攻めて来ているのか?」




