セントヤールへの襲撃
警鐘が鳴り続くが、シミリートたちはまだ戻って来ない。
「シミたち、どうなっているのかしら」
「カミラ。きっと役所も混乱しているんだよ」
不安になりつつも、あまり態度に出すと子供たちが不安になると思い、言葉を少なくしている仲間たち。
「おい!」
周囲を警戒するために方角ごとに役割を決めていたのだが、港の方を見ていたヨルクが発声する。
「え!?」
声につられて周りを見渡した皆が、港の先の方で炎が広がるのを見る。
「船火事?な、わけが無いわよね。このタイミングで」
「まさか、海賊?」
「そんな奴らが堂々と軍船もある港に攻めて来ないだろう?」
「って、じゃあどこかの国?戦争!?」
地上での戦争には少し関わった経験がある仲間がほとんどであるが、船同士の戦争など知らない。
「魔法?火矢?」
「ま、そんな感じで船が燃えているんだろうな。確かにここは軍船も停泊している港なんだし」
「って、いったいどこの国が」
「俺たちではこの辺りのことなんて知らないから、想像もつかないさ。それより、ダク!まだ動くな」
子供たちを誘導してどこかに行こうとしていたダニークに声をかけるジーモント。
「そんなこと言っても、争いならこんなところにいると危ないだろう!?」
「まだあんな沖だ。何かあってもここまで来るには時間もかかる。それより混乱する街中に行く方が危ないだろう!」
「俺たちは裏道も知って」
「そういう話じゃないぞ」
「そうよ、裏道って言っても近所の人たちは知っているのでしょう?混乱している人たちに小さな子供が蹴られてしまうかもしれないわよ」
カミラやゾフィが身体を使って小さな子供の前にまわり込んで逃がさないようにする。




