ユリアンネの夢2
孤児ダニークの今後の話から、ユリアンネが将来に孤児院を立ち上げたいという夢の話に変わっていく。
「なるほど。ユリならば、経済的にも何とかできそうだな」
「良いんじゃない?私も皮革職人のことを教えてあげるわよ」
「なら、俺は鍛冶職人かな」
「俺は料理でも教えてあげようか」
「おい、俺は剣や槍を教えられるぞ!」
「シミ、そんな張り合わなくても。でも、トリアンだったら冒険者になる子も多いだろうから、良いんじゃない?」
「みんな……ありがとう……」
ユリアンネが涙ぐみながら仲間たちにお礼を言っている横で、ダニークが困った顔をしている。
余計な発言をして空気を変えて怒られたくないが、なんてお人好しな集団だろう?本気か?と思ってしまう。
「彼が困っているぞ。とりあえずは食べ物を持って行ってあげるってことで良いんだよな?」
ユリアンネが孤児院出身であることを知らないサンダーは微妙に空気感が理解できていないが、ダニークが困っている雰囲気だけはわかる。
「そうね。いつまでも面倒を見てあげることはできないし、いっときの自己満足にしかならないけれど」
「こういうときにお金をあげたり何かしたりすると、それに気づいた周りの悪い大人が取り上げるというのも定番だしね……」
「じゃあ、なおさら子供たちが食べたら無くなる食べ物の差し入れがふさわしいわね」
「他の子供たちのところへ案内してくれる?」
「え?嫌だよ!」
カミラたちの発言の全てが演技とは思えなかったが、かと言って、仲間たちを危険にさらすわけには行かないと思ってしまうダニーク。




