イスクラディヤ入国2
ドラゴレシエ国は北方のオンデンスク国の侵略に対抗するために独立して戦争していたので、正直なところ豊かな国とはとても言えないのは理解していた。
しかし、そのドラゴレシエ国に独立されたインクラディヤ国もそれほど豊かな国ではなかった。
「どういうこと?せっかく買い物を楽しみにしていたのに」
「まぁ、まだ国境に近くだから、あっちの国と変わらないのかな」
「いや、貧しさはそれほど感じないが、どちらかというと覇気がないというかやる気が無いという感じじゃないか?」
「なるほど……」
宿屋で食事も取りながら従業員に話を聞いてみる。
「なぁ、みんな疲れているのか?元気がないみたいだけど」
差し出されたチップを受け取りながら答える中年の男性。
「お、ありがとうな。うーん、元気がないというか……諦めかな」
「どういうこと?」
シミリートの横からカミラも口をはさむ。
「ん?そうだな。この国は歴史もあるが、動きが遅いというか。現状に不満があっても国を出ていくほどではない。でも、不満に対して国も動いてくれない」
「不満なんてどこの国でもあるんじゃないの?」
「そう思うよな。だから余計に皆は今のところにいるというか」
宿の部屋で集まったところでヨルクが発言する。
「何か良く分からなかったのだけど」
「最後にボソって言っていたよな。この街もドラゴレシエ国になれば良かったのにって」
「そうよね、オンデンスク国に攻められる国になりたいなんて」
「きっとこの国の未来は無いと思っているのでしょうね」
「なんとなく国のかたちは保っているけれど、国民からの信頼もないし、国民にも覇気はない。ドラゴレシエ国は危機感を持って動いているだけ未来があると」
「よく分からないけれど、平和なだけ良いんじゃないの?」
「うーん……」




