ドラゴレシエ出国
「さぁついたぞ」
相変わらず居心地の悪い馬車であったが、文句は言えず乗っていた仲間たち。
「これでこの馬車ともさようならだと、普通は寂しくなるものだろうけど」
「いやいや」
シミリートの意味のわからない呟きにカミラが突っ込む。
「この川が国境ということね。で、あの建物が関所か」
「で、オリガちゃんは?」
その言葉と同時くらいに、その建物からオリガが兵士たちと共に出てくる。
その建物の向こうからは、自分たちの戦馬もぞろぞろと連れ出されるのが見える。
「オリガちゃん、無事だったのね」
「えぇ、まぁね」
「……もしかして」
「そうなの。ごめんなさい」
「やっぱりね……」
途中からますますおかしいと思い出していたが、やはりそうだったようである。
「まぁ、オリガちゃんも無事だったなら良かったわ。それにもし想像と違ったら、ここからどうやって王都に連れて行って貰うかを悩むところだったから」
「ユリ、どういうことだ?」
「ヨルク。オリガちゃんは兵士たちとグルだったということよ」
ゾフィがヨルクに耳打ちする。
「皆さん、申し訳ありません。皆さんが入国してすぐにゴブリンダンジョンを踏破した話を聞いたので、頼らせていただくことにしました」
「……角兎を狩って、村に配るところも試験だったということよね?」
「はい。実力と合わせて人柄も確認させていただきました」
「で、本命のダンジョン以外に3つのダンジョンもついでに踏破させてやろうと?魔物氾濫させないために」
「はい。実力だけでなく性格も踏まえて……」




