獣ダンジョン2
「確かに広かったな……本当に。おかげで時間がかかってしまった」
入口近くにまで戻ってきた一行。
「あの戦馬の群。従魔にする方法を知っていたら、あれに乗れたのに」
「こういうところで捕獲した獣が売りに出ているのかもね」
この“獣ダンジョン”は、同じ階層でも複数の種類の魔物が存在していた。
1階層には、ダンジョンの外の草原でもよく見かける角兎や魔犬。共にEランク魔物である。
2階層は、森林エリアでDランクの熊や狼であった。
3階層は、再び草原エリアでCランクの戦馬や牙虎だが、ボスはBランクのオルトロスであった。双頭の犬の魔物である。
いずれも、先のオーガ達に比べると強敵ではなかった。野営の際には≪石壁≫を使用することでかなり安全に眠ることもできた。
しかし広さがあるので、進むのに苦労した。
冒険者ギルドで販売していた地図には階段の位置の大雑把な情報があるだけであり、そもそも草原や森林なのであまり目印もない。
「今回もシルヴィスのおかげで何とか助かったよな」
「視界が通常の人より相当広いのと同じだから、ね」
「それと今回は宝箱があるダンジョンで嬉しかったわ」
ゾフィがホクホク顔である。確かにオルトロスを倒した奥に宝箱があり、その中にはオルトロスの綺麗な毛皮が入っていたのである。ボスのオルトロスは倒す際に色々と傷をつけていたので、それほど綺麗な素材を入手できなかったのである。
皮革職人のゾフィがその毛皮を預かり、どのような加工をするか、いまだに迷っているようである。




