人型魔物ダンジョンの踏破報告3
「シミ、あんなに強気に出て良かったの?」
人質のオリガの様子も分からないまま、おそらくまた別のダンジョンの踏破を指示されそうであったので、オリガの無事を確認したいとシミリートが強く出たのである。
兵士も言うことを聞かせて次に向かわせたいが、力づくでは従わせられないことは2つのダンジョン踏破の実績からも理解している。
また、兵士の人数の方が少ないことも確かなので、兵士同士が集まって相談をしている。
「きっと何らかの譲歩は引き出せると思う」
「オリガちゃんが変なことにはならないわよね?」
「俺たちが働かないことの方が困るのは向こうだから。逆にそろそろ釘を刺しておかないと、オリガちゃんが居なくなっても大丈夫と思われるかもしれないし」
「それは……」
自分たちもそれ以上の言葉が無いまま、兵士達の議論の結果を待つ。
「まずは移動して貰おう。そしてそこで任務を行なっている間に、そのオリガの様子を確認した情報を渡す」
「待ってください。オリガちゃんに、村で提供した料理の名前を聞いて来てください」
「シミ、それだと村人に聞いたら答えがわかるわ。私たちの名前と、誰と誰が恋人か聞いて来てください」
「ユリ」
「良いですか?私たちも従って向かいます。また次のダンジョンを踏破すれば良いのですよね?その間に、オリガちゃんの返事を待ちます」
「……分かった。次のダンジョンも頼むぞ」
どうやらここのダンジョンの見張り当番であった1人に、王都への使いを頼むようである。元々交代タイミングであったのかもしれないが。




