槍術道場
「ということで、あの尾行者についての捜査は打ち切り。そして俺は分隊長から紹介された槍術の道場に通うことになった」
「えー!どういうことよ、ユリはどうなるのよ!」
シミリートが集まった仲間達に説明をしたところで、カミラが噛み付く。
「すまない、これからも目立たないように気をつけて貰うしか無い……」
「そんな……」
「カミラ、ゾフィ、ありがとう。私は大丈夫よ。ギルドへの納品の時には魔法の収納袋を使って応接室でこっそり出すようにするし、ガラクタ市の時には今までのように顔をしっかり隠して行くからみんなもお願いね。あと、シミ、色々とありがとうね」
「よし、俺に任せておけ。いつものようにガラクタ市では俺が座っていれば良いんだろう?」
「ヨルクももう少し髭が生え揃えばね。お客さんとのやりとりは私がするわよ。ガラス瓶のお得意様のために、ね」
「みんな、すまないな」
「それより道場か。剣術じゃ無いんだな」
「あぁ、俺も念押しで聞いてしまった。剣術の道場はこの街にもたくさんあるし、そのうちどこかに通うことも考えていたんだが」
「やっぱり需要と供給ね。剣の方が普及しているから、流派もたくさん、希望者もたくさんなのかしらね」
「またユリが難しく言っている。まぁ衛兵で偉くなるなら槍も覚える必要があるんだろう?頑張れ!」
剣術の有名どころとしてこの世界に広まっているのは、“流水流”“豪破流”“タルブ流”などでありこの街に複数の道場があるものもある。逆に槍、弓、短剣などでは使用者はそれなりに居ても流派の名前が有名なものは無い。
シミリートが紹介された槍術道場は、このトリアンの街でも南部に存在し、“コルマ貫流”という。




