人型魔物ダンジョンの踏破報告2
「じゃあ、帰り道も頑張ろう」
シミリートが、食事を終えてゆっくりしていた仲間達に声をかける。
武器の手入れなども一通り終えているので、タイミングとして悪くない。
「気を抜くなよ」
確かに、ダンジョンボスまで倒したのだが、帰りもまずはオーガ達がいるはずで油断はできない。
ここまで来るときと同様にゾフィが地図を担当し、ユリアンネは偵察を行う。
「ごめんね」
ゾフィが皆に謝る。
「気にする必要はないさ。でも、俺たちはそれだけユリに頼っていたということだな」
来るときの道を進んだはずだが、ゾフィの作成していた地図では分岐の記載が甘く、道を間違えてしまったのである。
「さっきの分岐のところまで戻れば良いだけじゃない」
ユリアンネが早速、使い魔のシルヴィスを飛ばして偵察を行う。
その後は、最初はオーガとの戦闘で苦労もしたが、オークの階層になると再び肉の回収という楽しみに気持ちが切り替わる。
「帰って来たようだな。流石に今回は日数もかかったか」
来たときの兵士が引き続き待機をしていたようである。
いつ戻るかわからない自分たちをじっと待つ任務も楽ではないと考えてしまう。
「こちらがこのダンジョンのコアです」
「先日のより大きいな」
「それだけ魔物達も手強かったですから」
「関係ないところはそのままにしたのだろうな?」
「はい、もちろんです」
兵士が、オリガ達の状況を教えてくれることへの淡い期待はやはり無駄であったようである。
「それで。私たち、この後は?オリガちゃんに会えるのでしょうか?」
「いや、そちらの情報は無いままである。次の場所へ連れて行く指示だけだ」
「え!流石にこれが本番だったのでは?前回のは試験だったのですよね?」
「繰り返す。指示は次の場所に連れて行くだけだ。早く馬車に乗れ」
「いえ、オリガちゃんの無事がわからない限り動きません!私たちが魔物を倒さないと困るのでは無いのですか?」
「お前達!」
「我々も、別に魔物を倒すのを拒否しているのではありません。せめてオリガちゃんが無事ということを確認できたら従います」




