人型魔物ダンジョンの悪魔
「この最奥にたどりつけるような奴って、そうそうは居ないよな。自分たちでいうのも何だけれど。俺たちはユリがいるから来られたけれど」
「私1人でも来られないからね。でも、シミの指摘は正しいかも」
「確かにツキノハラは伝承が守られていたが、ここは戦争ばかりでそのような大事な話が伝わっていない可能性はあるな」
「サンダーもそう思う?じゃあ、この封印ってどんな状態なんだ?それもギアマたちなら分かるんじゃないのか?
「で、どういう状況か教えて貰えるかしら。そもそもツキノハラみたいに力を補充しなくても良いような封印なのか、についても」
「ぐっ。もうすぐ解けてしまいそうな状態だ。もちろん補充はしないと封印の力は弱まる」
「何を言いづらそうにしているのだ?」
「お前たちなら封印を解けといえば、逆に放置していくと思ったのだ」
「はぁ、お前、それでここの悪魔に恩を売れると思ったのか?」
答えないので、そういうことであろう。何とも呆れる話である。
「俺たちに魔物退治をさせようとしている奴、きっとこのドラゴレシエ国の中枢の奴にこの話をして信じると思うか?」
「ま、十中八九は信じないわね」
「このまま放置して封印が解けてしまい、オリガちゃんやあの老人たちに呪いや病を撒き散らされたとしたら?」
「そんなこと!」
「じゃあ、俺たちが取り得る選択肢って他にあるか?」
シミリートが皆の顔を見ていく。
「よし、この部屋で暴れると痕跡が残ってしまうからな。さっきの広間にその女神像を持っていこう」
「割ったり傷つけたりせずに封印を解く方法は悪魔なら知っているわよね」




