人型魔物ダンジョン最奥
Bランク魔物であるオーガはやはり強敵ではあるが、ヨルクが斧によるさばきを習得したことで何とか前に進めている。
通路だけでなく、広い場所に数体いるときには焦ったが、ユリアンネが事前に≪炎槍≫や≪雷撃≫などを事前に発動した上で、≪石壁≫や≪炎壁≫をドロテアと手分けして発動することで、対峙するオーガの数をコントロールしてしのぐことができた。
「ふぅ。ここで1回休憩しようぜ」
「そうだな」
「よし、オーク肉を焼いてくれ!」
「俺も疲れているのだから少し待ってくれよ」
ジーモントが楽しそうに愚痴をこぼすので、まだまだ皆には余力がある気配である。
「やはり武具の痛みが早いわね」
特に短剣投擲をするカミラと矢を放つゾフィが嘆く。
「仕方ないわね。オーガは流石に硬いし」
それらをヨルクが簡単な道具でできる程度の修繕を行なっている。
「サンダーの刀は流石だな」
「あぁ、ここでは使い捨ての刀ではなく≪修復≫の刀を使わせて貰っているからな」
「2人の盾も≪頑丈≫がついているだけあって良いわよね」
シミリートのカイトシールドも、ジーモントのバックラーもまだまだ傷んだ感じがない。
≪剛撃≫のバトルアックスで、オーガの攻撃をさばいていたヨルクは、たまに失敗したこともあり、少し不安そうに手入れをしている。
どこかで魔法武器の調達ができると良いと思いつつ、戦争が多いこの北方諸国家群では一般人が良いものを入手できるとは思えない。
「ところで、5階層もあるのかな。流石にAランクばかりがいると無理だよな」
「実力試験のボスがBランクのレイスだったのだから、ボス以外はBランクまでだと思いたいわね」




