捕縛2
牢屋でも、流石に男女に分ける配慮はあったようで、その移動については指示に従うが、食事として出されたただの水のようなスープは匂いもひどくて喉を通らない。
ただ、魔法の収納袋も何もかも取り上げられているので、非常食も食べられない。
出された水も汚れたコップで何か浮かんでいるようなので飲む気になれない。
「シミ、こっちに両手を伸ばして。両手で器のようなものを作って」
杖なども取り上げられているが、簡単な≪水生成≫はできるので、手を洗った上でそこに作り出した水を飲むことで乾きを癒すことはできた。
特に見張りもいないので、なんとか抜け出すこともできたかもしれないが、そのままこの国を出るまで、もしかすると国を出てからも追いかけられる人生も嫌なので、まずは様子を見るというのが皆の結論であった。
「良く寝られたかな?」
「そんなわけはないでしょう!」
怒るカミラを抑えながら、感情を押し殺したようにシミリートが対応する。
「私たちはどうなるのでしょうか?」
「本当に冒険者としての腕があるのか確かめるということになった」
「はぁ?」
「どうやって、でしょうか?模擬戦ですか?」
「いや、それではどんなズルをするか分からないので、不正が通用しない魔物を相手して貰うらしい」
「わかりました。せめて道具は返して貰えるのでしょうね?」
「最低限だけになるだろうが、な」
「で、どこまで連れて行かれるのですか?荷物も返して貰えずに」
「黙って乗っていれば良い。荷物は現地に着いたら返す。今ここで逃げ出さないように、な」
牢屋を出された後、馬車に乗せられてどこかに向けて運ばれていく。




