少女オリガ3
「で、オリガちゃんはこの村の子供ではないのよね?」
食事の片付けをしながら、ユリアンネは確認する。
「あ、分かる?そう、住んでいるのはあっち。ここにはたまに来るのよ」
王都アンダロフの方を指さしている。
「その歳で、村の人たちのことを考えるなんてすごいじゃない」
「まぁね。みんなで我慢、助け合いしないと」
ここに来る前の街では子供も見かけたが、あまり元気がないだけでこんな感じではなかったと思い出す。
「じゃあ、あっちまで送るわよ」
「そぉ?ありがとう」
オリガを二人乗りしたまま王都に向けて進むが、途中の林のところで停止を求められる。
「ちょっと、用を足しに行ってくるわね」
「1人で大丈夫?」
「平気よ。いつも1人で通るところだから」
それもそうかと思い1人で行かせる。
「なぁ、ちょっと遅くないか?」
しばらく経っても戻ってこないオリガを皆が心配する。
「手分けして探そう!」
林といってもそれほどの規模でもなく、確かに狼などの魔物も見えない。8人が戦馬で本気を出せばすぐに探索は終わってしまう。
「ちょっと村まで行ってくる」
シミリートは先ほどの村に確認に行くが、オリガが戻った気配はないとのこと。
老人達に心配させないために、かくれんぼの途中で、という言い訳はして来たらしい。
「じゃあ、ここより近い王都の方に行ったのかも」
だんだん暗くなってくるので、何かあったならば城門の衛兵に相談することも考えて、いったんは王都に向かうことにする。
確かに街道の人通りもほとんどいなかったのだが、城門も人の出入りがほぼない。
「あの、今いいでしょうか?オリガという少女がここに来ませんでしたか?」
「あ、お前達か!?大人しくしろ!」
合図の元、何人もの衛兵が出てきて周りを取り囲む。




