ゴブリン退治
「念のために聞くが、ゴブリンの村ができているとか調査はできているのか?」
「いや、すまない……」
「分かった。この辺りの大雑把な地形だけでも教えて貰えるか?」
「あぁ。地図は軍事的に重要なので他人に提供してはダメと言われるが、戦場から遠い南部だし、背に腹は変えられない。見るだけで覚えてくれ」
国境の大きな川から西、この最初の街までの間は、来るときに見えていたように大体は平原で所々に林程度の木々があるだけである。しかし、この街の北側には少し大きめの山があり、そこの森から魔物が散らばっていっている気配ではあるらしい。
おかげで、街より北側の村は生活ができずに街に逃げるか、南側の村の知人を頼って避難しているらしい。
ただ、戦争で人手不足なので北側の村を放棄しても、自活するくらいのことは何とかできているとのこと。
「それだと、定常的に北側の魔物を退治しないと、北側の村を復活はさせられないんじゃない?」
「そうだな。でも、俺たちもいつまでもここにいるわけではないし」
「今いる魔物だけでもやっつけておきましょう!」
角兎は放置しても、人間に悪意を持って接近してくるゴブリンだけは殲滅しておきたい。
そのためには、戦力的に8人が揃って行動する必要はないので手分けすることにする。
今日はすでに昼過ぎであるので、日が暮れる前にこの街に戻るようにする。
1番の戦力であるユリアンネとシミリートは北側の山へ。サンダーとドロテアも同様にその山に近い方向へ。ヨルクとゾフィ、ジーモントとカミラは東西それぞれに街道沿いから南側を戦馬の脚力を活かして広範囲でゴブリンを探し出すという分担である。




