国境へ2
「フィジ!?」
ハンソク王国から西、北方諸国家群への国境の手前の山脈である。そこで街道横の斜面の上に現れた騎馬が何頭かいる中にフィジの姿があったのである。
フィジは何も言わず、二人乗りしている男性の肩を軽く叩くと、その男を含めた騎馬が10頭ほど斜面を降りてくる。
「フィジ?」
何も言わないフィジが、再び二人乗りの男性の背中を軽く叩く。
「お前達、このフィジさんがだいぶお世話になったらしいな!」
「あ、あぁ。意味が伝わっているか分からないが、かなり世話になったぞ」
シミリートがつたないハンソク王国の言葉で返す。
「シミ、違うわよ」
「逆よ。私たちがお世話になったのよ」
ユリアンネが突っ込んだ後、カミラが大きな声で言い返す。
「あ?そうなのか?お礼があるらしいから来たんだがな」
相変わらずチンピラのような口調の、見た目もそのままの男性が返事をしてくる。
フィジが無言で腕を上げてカミラの方を指さすと、その10人の男達が騎乗のまま近づいてくる。
流石に少し身構える“選ばれた盟友”の仲間達。少しでも怪しい動きをすれば反撃するつもりだが、今の段階では様子見である。
油断さえしなければ、自分たちが負けるとは思えない相手であると見た目から判断しているのもある。
そしてカミラの横まで来たフィジ。
黙って布袋をカミラに差し出してくる。
「あら、何かしら?開けるわよ」
返事はないが、自分の頭の大きさくらいはある布袋を開ける。
「まぁ、綺麗!」
取り出したのは、螺鈿細工が一面にほどかされた箱である。
「貰いっぱなしというのは私の性分ではないから。慌てて昔の仲間に連れてきて貰ったのよ」
照れながらつぶやくフィジ。
「フィジ、ありがとう!大事にするわ」
馬を上手く操り隣につけたところで、フィジに抱きつくカミラ。




