尾行2
尾行の2人がついて来るのを確認したユリアンネ達は街中を進む。
「なぁついて来ているアイツらだよな」
「後ろばかり見ないでね」
「じゃあ、屋台で買い食いしながら行こうぜ」
「もう、自分が食べたいだけでしょ?でも良い手かもね。ヨルクだけ食べて良いわよ」
「何だよ、1人だけかよ」
「この状態でユリにマスクを外させられないし、そもそも大人の女性は歩きながら食べたりしないものよ」
「ちょっと前まで一緒に食べていたのに……」
尾行に気づいた人間が屋台で串焼きを食べるとは思わないであろうし、確かに油断を誘えたのかもしれない。
シミリートの詰所へ大通りばかりを通るように少し遠回りしたので、おそらくゾフィは先に到着したかなと思っていたら、ゾフィとシミリートが他の衛兵と一緒に曲がり角に立っているのが見えた。ゾフィがかなり走ってくれたのであろう。
シミリート達に対して、もちろん立ち止まっての会話はせず、目線だけで合図をして素知らぬ顔で道を進む。今度は人が少なくなる道の方へ進むのだが、冒険者風の尾行2人は引き続きついて来る。
いよいよ人が居なくなった細道でもついて来るので、そこでユリアンネ達は振り返る。
「そちらのお二人、どういうおつもりですか?」
「!……俺たちのことか?何のことかな?」
「ずっとついて来ていたでしょう?」
「いや、そんなことは知らない」
「いいえ、我々が証人になりましょう」
「!」
衛兵姿のシミリートが同僚2人と一緒に逃げ道を塞いで発言をする。
「逃げるな!話を聞かせて貰おう!」
「くそ!」
男2人が腰から広剣と片手剣をそれぞれ抜いて、ユリアンネたちの方に向かってくる。ヨルクは戦斧を持参していなかったので、カミラとユリアンネの女2人が相手の方が、衛兵3人より与し易いと考えるのは当然であろう。




