セグンを出発2
「そういえば、セファンに挨拶をしなくて良かったのかしら?」
「今さらだな。もう街を出てだいぶ経つぞ」
ゾフィの言葉にヨルクが指摘する。
「俺たちは単なる旅行者で、単なる被害者として告発しただけ。あまり親しいと思われる行動をとると、セファンの作戦に影響も出るだろう?」
「あら、シミらしくない、先のことまで考えた発言ね」
「う、そういうなよ。同じ疑問に対して、先にユリに教わっていたんだよ」
「あぁ、なるほどね」
意外と周りに聞こえていたようで、仲間達に笑われるシミリート。
「ユリって本当、色々と気がつくわよね」
前世の人生経験があるからとは言えないユリアンネ。
「働いていた書店で色々な物語も読んだから、人よりも擬似体験が多いのよ」
前世も結局は大学受験までであり、所詮は生徒までの経験なので社会人など大人の実体験では無い。しかし、今世を前世記憶があったまま過ごした際に、単なる子供が経験するよりも周りのことを認識できていたので、少しは世のことを知ることができたのだと思う。
ユリアンネが前世のことを考えているのと合わせて、亡くなった書店の主人オトマンのことを考えて言葉が少なくなる。
周りは前者のことはわからなくても、後者のことに推測がついて静かになる。
「先日の衛兵に指摘されたことも含めて、あなた達、何かと複雑な背景があるの?私より若そうなのに」
フィジがこっそりとカミラにささやく。
「まぁ、冒険者には色々と経験する機会があるのよ」
納得した感じではないフィジであるが、それ以上は触れない方が良いとわかる程度には経験があるので黙っているのだと思われる。




