市場裏の賊
「テア、大丈夫?」
ユリアンネは、自分たち応援組、賊、ジーモント達、賊という順番の中でも、奥の方の賊に対峙しているドロテアを気遣う。
「はい、何とか」
しかし、ドロテアはそれほどの魔力があるわけではないので、ここに来るまでに不慣れな上級魔法≪火壁≫を連発して余力がない。
いくら魔力回復ポーションを飲んでいても、疲労は蓄積している。
ユリアンネはその様子を認識できたので、仲間達を通り越した一番奥の賊達に向けて≪火槍≫を発動していく。
「ユリ、大丈夫なのは分かっているけれど、やっぱり怖いわよ」
「カミラ、ごめんね。でももう少し我慢して」
そう言いながら何度か≪火槍≫を発動していく。
「なんだんだよ、お前達!」
「今さらかよ。自業自得なんだよ。せっかく逃がされたのに、また襲って来やがって」
シミリートとジーモントが間の賊を挟み撃ちしていく。
「だいたいは片付いて来たか。終わりが見えたな」
賊の数が減ったのもわかり、シミリート達の横を通り越してドロテアのところまで進むユリアンネ。
「テア、お疲れ様」
「テアが頑張ってくれたから、フィジや私は何もせずに済んだわ」
「そんなこと……」
ドロテアが照れるのを微笑ましく見ながら、カミラとフィジは先を進む。
残った敵をシミリートやサンダー達が倒そうとしている横を通り過ぎる。
ちょうど十字路であり、横から追加の敵が来ていたので対応していたのである。
「早く戦馬のところに行くわよ」
非戦闘員のフィジを連れてゾフィのいるところに向けて先に進むカミラ。ユリアンネとドロテアもその後ろを進み、彼女達もシミリートやジーモントが戦っている十字路を通り過ぎる。
「上がおろそかだぜ」
そのとき、ゾフィのところへ路地を作っている家屋の窓から飛び降りた男がニヤリとする。




