市場での迷子2
「フィジ、いつも戦闘のたびに騒がなくて良いのよ」
カミラが呆れながら、フィジの手を取って前に進むように指示する。
「大丈夫よ、私たちが周りにいるから」
その言葉通り、もともと向かう予定であった方向に、刀を抜いたサンダーと盾を取り出したジーモントが前に出ていく。カミラはフィジのすぐ前を、ドロテアは最後尾を歩く。
「なんだ、こいつら。今度こそやっちまえ!」
「何を言っているのか分かりませんが」
ドロテアは、後方の男達との間に≪炎壁≫を発動する。一応は、路地の両側の家屋に燃え広がらないように気をつけてはいる。
「ついでに」
上空に向けて≪火球≫を発動しておく。ユリアンネに気づいて貰えるか分からないが、念のためである。
前を進むジーモントとサンダーも、2人が並べばその横をすり抜けていける者がいないような幅の通路であり、突撃してくる賊の武器を叩き落とし、首の後ろを強打して気絶させていく。
「なんなんだよ、こいつら」
「だから手強いって言っただろう?」
「この騒ぎで散らばっている仲間達も追いついてくるだろう。それまでしのぐぞ!」
「さっきからうるさいわね。どうせ仲間を待っているのでしょうけれど、こちらの仲間も来るとは思わないのかしらね」
「カミラ、俺たちの言葉も相手には伝わらないぞ」
ジーモントが笑いながら、カミラの愚痴に返事する。目の前の賊を、盾で強打して道を開けさせながらである。
路地を進んでいくと、他の道との合流場所で賊は増えていくが、シミリート達がくる気配はない。
「仕方ないな、このまま進むか」




