裏街道の賊
「何人かは逃してしまったということか?」
「そのようですね」
戦闘らしい行為の時間はそれほどかからず、盗賊達から武器を取り上げて猿ぐつわを噛ませたり後ろ手に縛ったりする時間になる。
猿ぐつわまで行うには時間がかかるので、その間にフィジに、盗賊達の人数を確認させていたのである。
「馬車の近くで矢を放って来た人物が後2人くらいいたみたいです。状況が悪いとわかってすぐに逃げたのでしょう」
「うーん、まずいな。コイツらの組織名と拠点を確認してくれ」
結果、やはりというか、港街セグンに拠点を持つ組織であった。しかし組織名は“黒き帆の兄弟団”とのことで、先日の“深海の狼”とは別だったようである。
「セグンって、賊の集まりの街なのか?」
「失礼なことを言わないでくださいよ。あれくらいの規模の街になれば、悪党もそれだけ増えるだけですよ」
フィジが母国でも有数の街を非難されたと思って噛みついてくる。
「悪かったって。でも、2回も連続してそこの賊に襲われたんだから分かってくれよ」
「……」
「で、シミ。コイツらはどうする?セグンに引っ張って行くか、それとも」
「まぁ戦闘中に殺してしまったのでなければ、命は助けたいとユリも言うだろう?」
確かに、矢が刺さった仲間の傷を早々に治療した後は、賊の怪我を治して回っているユリアンネ。
「このまま街道を進んだ先の街を目指すにはちょっと遠いみたいだし、やはりセグンに連れて行くしかないだろうな」
「じゃあ、あの馬車でも使わせて貰うか」
「そうだな。しかし、逃げた奴が先にセグンに着くと面倒だな……」




