フィジ2
「ちょっとあなた!」
シミリートに半分抱きつくようなもたれ方をして来た女性に対して、カミラが注意する。
「なあに?すでに8人もいるみたいなのに、私を追加して貰っても良いじゃない?」
少し照れながらシミリートは逃れるように立ち上がっている。
「いや、一緒に行くとはどういうことだ?国境を1人で越えたくないだけか?」
サンダーが確認する。
「あら、中つ国の言葉を皆がしっかり話せるわけではないのね。あなたのお名前は?」
「俺はサンダーだ。人にたずねる前に自分から名乗るのが筋ではないのか?」
「あ、そうね。失礼したわね。私の名前はフィジよ」
「そうか、フィジ。で、ハンソク王国に行きたい目的は?」
「あら怖い!でも、そうね。私がハンソク王国の出身だから故郷に帰りたい、ではだめかしら?」
「いや、この国に来たのなら帰ることもできるだろう?」
「一緒に来た奴らは私を取り合って喧嘩別れして、私だけこの街に置き去りよ。いくら街道と言っても、か弱い女が1人で向かえるものではないわ」
「じゃあ、今までどうしていたの?そのお金で誰かを雇って帰れば良いじゃない?」
なんとなく雰囲気までは分かったが、一応はサンダーの通訳を聞いてから疑問を口に出すカミラ。
「あら、女なら色々を諦めたら、どうにかして生きては行けるわ」
サンダーがそれぞれに通訳するが、フィジの答えにそれ以上は突っ込めない一行。
「分かった。じゃあ、ハンソク王国の西の端まで案内してくれるか?お前の故郷は?」
「シミ!」
「いや、通訳してくれ、サンダー」
「あら、西の端?北方諸国家群に行くの?私はその手前に戻らせて貰えるならありがたいわよ」
サンダーの通訳に応えるフィジ。




