経路確認2
「さ、両替しないとね」
風花の中つ国を北上している間は、道中で角兎を狩って食事に使うくらいしか変わったことはなく、のんびりと騎乗している戦馬が進むままに任せるだけで済んでいた。
しかし、ハンソク王国への国境が近づいてくると、ふと気付かされる。通貨と言語の問題である。
「両替ってどのくらいすれば良いのかな。中つ国の貨幣がそんなに使えるわけではないのよね?」
「ハンソク側でも、南東の国境付近であれば少しくらいは使えるかもしれないけれど。事前に国境前の街で両替しておいた方が手数料が少なくて済むと思う」
サンダーもようやく敬語を使わないことに慣れてきた感じがある。
「じゃあ、お金のことはそうするとして。言葉はどうしたらいい?サンダーも流石に話せないよな?」
「ハンソク王国は隣国だけれど、ツキノハラにずっと居て縁はなかったから……」
「俺たちの方って、俺たちのモンタール王国、ステルビア王国、ビザリア神聖王国の誰とでも言葉が通じたよな?」
「真モシノム大公国も縁はなかったけれど、言葉は同じみたいよね」
「こっちって、国ごとにそんなに言葉が違うと不便だよな」
「確かに。でも、言葉の統一って、文化とセットだから簡単に片方だけを使うことなんて出来ないわよね。それこそ戦争で勝って国ごと併合でもしない限り」
「なんかそのために戦争されて、住民が苦しむのは嫌だなぁ」
「そうね、それならば今のままで良いや」
前世記憶でも、海で隔離された日本に住んでいた自分達は、陸続きなのに言葉が違う人の感覚がわからないユリアンネ。




