技術交流再び3
「ゾフィさん、こちらの染め物はいかがでしょうか?」
カミラが迷宮都市トリアンへの土産になる技術を入手するのを見ていたゾフィに対して、彼女の饗応役のスカイ・ドリームも探し物をしてくる。
自分たちにとっては普通であっても、客人にとっては珍しいものというのはなかなか気づきにくい。じっと観察していた中で、ゾフィの興味のある皮革やお洒落関係のうち、トリアンからの女性達が持っていないと見えたものを発見したのである。
「こちら絞り染めというものでして」
「何これ!すごい。そんなに種類があるのね」
布を染色する際に、糸で括ったりすることでその部分に染料が染み込まないことで模様を作る技法である。
例えば藍色一色に染める生地を何箇所か大きく縛っておくと、その部分には染料が染み込まないので、縛った糸を外すと大きな円形の白い花が咲いたようなものができている。
この縛る大きさを変えた大小様々なものを混ぜることもできれば、小さな絞りを一面に均等に行うことで子鹿の背中の斑点に似たものも作ることができる。
複数の色を使い分けて染めたものもスカイが並べてくる。
「これは生地の柔らかさにも依存するわね。皮革では難しいけれど、絹などではもっと色々とできそうね」
「はい、素材や手間次第で高級品も普及品も幅広く対応ができますね」
ゾフィはここツキノハラで交流した草木染めに、さらに幅を持たせた商材が作ることができると思考を広げる。
「ご満足いただけたようで」
「うん、スカイさん、本当にありがとうございます!」
ゾフィが現地のスカイと仲良くすることは、ヨルクにとってあまり面白くはない。




