土精霊の祠
事前に聞いているように魔物にも遭遇することなく、洞窟の奥に進んでいるユリアンネたち。≪灯り≫の魔法も使用しているが、ストーム達は松明も手にしている。
「こちらが土精霊ペクトーン様の祠になります」
洞窟ではあったが、上部に割れ目があり外の明かりがこぼれている広間の一角に木造の少し大きめの祠が建っている。前世での道路の一角にある地蔵尊の祠ほど小さくはないが、人が中に入れるほど大きくはない。
その祠には御神酒らしいものも奉納されている。
「ミョウオウも祀っていたし、色々な信仰が共存しているのね」
「はい。この世の中には八百万の神々がいらっしゃいますので」
カミラの素朴な質問に答えるフェザー。トリアンにも神殿がいくつもあったが、根本から意識が違うのかもしれない。
「私達は、この祠に向かってお祈りをしながら魔力を奉納すると契約をすることができました」
ストーム・ウォーカーがそうユリアンネに説明し、祠の前で屈んで両手を合わせて祈っている。フェザーも続けて同様に祈りだす。
「じゃあ、私達も」
皆で揃って、形を真似ながら祈る。
魔力操作ができるユリアンネとドロテアだけは、体内の魔力をいくらか集めた上でペクトーンに奉納する意識をする。
「え!」
共に、魔法発動をした際のように、体内から魔力が消える実感があり驚く。ユリアンネは悪魔ギアマに魔力を譲渡したのと同じ感じと思っている。
「ほぉ、今日は珍しい者達が来ているようじゃ。他国からの客人のようじゃな」
「ペクトーン様!?」
茶色だが透き通った子供のような外見の者が祠の前に現れる。




