通訳道具ギアマ
「ユリ、何をやっているんだよ」
シミリートが嫉妬も混じった感じで質問してくる。
「フェザー、さっきこのサンダーさんがやっていたのは九字って言うのであっている?」
「え!どうしてそれを?」
「今、この短刀のギアマに、通訳をして貰ったの」
「って、話してなんかいないじゃないか。いや、口に出さずに、念話か」
悪魔ベリスの事例を知っているシミリートは理解したようである。
「そう。もし私がこっちの言葉を知っていたら、サンダーさんが口頭で話した言葉を理解しただけとなるかもしれないから。だから、私達が本来知らなかったはずのことをサンダーさんに聞いてみたの」
「で、何が分かったんだ?」
シミリートはまだ少し機嫌が悪そうではある。
「唱えていたのは、臨兵闘者皆陣裂在前(りん、ぴょう、とう、しゃ、かい、じん、れつ、ざい、ぜん)という9つの言葉で、その9つに合わせた手印を結んでいたらしいわよ。九字を切るって言って、あの神像の神、ミョウオウに除災戦勝等を祈る作法らしいわ。単なるお祈りだけでなく、実際に悪魔にダメージを与えていたのだから、ギアマは通訳するのが嫌そうだったわ」
「流石です。そこまでは他国の人が知り得るとは思えません」
フェザーがサンダーに、中つ国の言葉で話して確認をしたようである。
「はい、まさにそのようなことを、その短刀に念じながら話して伝えたと言っています」
「私達、この集落で色々と教わりたいけれど、いつもフェザーに付き添って貰って通訳をお願いすることはできないわよね。技術交流に役立って貰いましょう、この悪魔には」
「それって、そっちのダガーの悪魔も?」
「こっちのベリスは図に乗って契約を求めて来そうだから、どうしようかな。ギアマは色々と反省して貰うために頑張って貰うので良いでしょう」




