ツキノハラ酋長
「さぁ、みんな中に入ってくれ」
馬を預けた後は、酋長の館と分かる建物に入って行くシャドウとフェザーの兄妹。
仕方なくその木製建物の大きな玄関に入って行く。
「ドアが違うわね。玄関が引き戸だなんて」
「本当だな。シオサキは外国人が多いから開き戸だったのか」
「確かに通って来た道の家も全て玄関が引き戸になっているわね」
言われてみるまで意識していなかったが、確かに古かったり大きかったりする家ほど引き戸だったかもしれないと前世を思い出すユリアンネ。
そんなことを考えながら、自然とブーツを脱いで一段高い板間に上がってしまう。
「流石はユリさん。私達の風習を良くご存じですね」
「え?」
周りの仲間達は靴を脱いで建物に上がることに戸惑っている。
「あ、あぁ。フェザー達が脱いでいるから真似しただけよ」
そして案内された板間には、一番奥にシャドウに雰囲気が似た年配の男性が座っており、その両脇にも年配の者達が並んで座っている。
その正面、入口に近い側に藁で編んだ座布団が並べられている。
2つだけが前列に置かれており、その後ろに3つと4つなので、前2つがシャドウとフェザーの兄妹用と想像される。
田舎に行くほど男尊女卑になるという前世意識があるので、もし違っていても安全側へと思ったユリアンネは、わざとらしくならない程度に男性陣を前列の3席に誘導する。
「皆さん、楽に座ってくださいね」
フェザーがそう言うものの、屋外や荷馬車みたいなところ以外の、建物の床に座ることに慣れていない仲間達は、すでに座っている集落の偉いさん達やシャドウ達の真似をして何とか座っている。




