シーサーペント来襲
「左舷!」
誰かの声で振り向くと、噛みつこうと口を開けて迫るシーサーペント。
とっさにその大きな口に≪炎槍≫を発動するユリアンネ。
予想外の反撃を受けたシーサーペントは口を閉じるが、そのまま勢いを殺すことはできず船に頭突きのような攻撃になる。
尻尾をぶつけてきたときのように、ドン!という衝撃が船に響き渡る。甲板の端、手すりのようになっていた木壁が崩れている。
口の中が大火傷になったはずのシーサーペントは直ぐに海に潜る。
「逃げたのか?」
しばらく様子を見ても再び襲ってくる気配がないので、皆が一息をつく。
「潰れたへりには応急処置をしておけよ」
アーロルフが冒険者に指示して、適当な木材で補修させている。放置していると乗員を含めた何かが落ちる可能性もあるし、大波のときに波が甲板に入るのを少しでも防ぐためであろう。
「俺達も護衛で雇われていたら、あんな何でも屋をすることになったんだろうな」
「シミは不器用だからあんな仕事は割り当てないわよ。甲板をブラシで掃除するくらいじゃない?」
部屋に戻っての雑談で、カミラにからかわれているシミリート。
そうして再びゆっくりしているところに、またドン!という衝撃が来る。
「またか!」
再び甲板に戻ってきたユリアンネ達。
「今度は2体みたいだ!」
甲板で見張りをしていた冒険者が叫ぶ。
確かに右舷と左舷それぞれに振りかざした尻尾が見える。流石に王級魔法を多発できないため、左舷に対しては≪氷壁≫で防御しておき、右舷の尻尾の付け根に≪炎槍≫を発動する。
右舷からの攻撃は阻止できたが、左舷の尻尾の振り下ろしには≪氷壁≫で受けても衝撃だけは防ぎきれていない。




