クラーケンの来襲後
作った≪氷壁≫が潰される横から追加で作る作業を続けているユリアンネの横で、仲間達は振りまわしてくるクラーケンの足に攻撃を続けている。
いつ終わるか分からないと思ったところで、クラーケンの足が振り下ろされてこないことに気づく。
「あれ?クラーケンは?」
「お、おぉ!逃げたぞ!クラーケンを追い払ったぞ」
周りの冒険者達が騒ぎ出す。
「残念だな。どうせなら倒して、どんな大きさの魔石か拝みたかったな」
息を切らせているシミリートの強がりに微笑んでしまうが、確かに成果が巨大蛸の足1本というのは残念である。もちろん、せっかく倒しても海に沈んでいってしまう可能性もあったのだが。
なぎ倒されて打撲などの怪我をした冒険者がいるようで、“飛魚”のときよりも怪我人が多いためドロテアだけでなくユリアンネも治療を手伝う。
そうこうしていると、船員達がコックを呼んで来たようだが、調理のことで困っているようである。
「ジモならタコの足の調理方法、わかるよね?」
「あ、あぁ。生で食べる文化のところもあると聞いたが、普通に茹でたり焼いたりする方が理解できるがな」
それならば、とジーモントを押し付けて女性部屋に戻るユリアンネ。
「えー、骨も無いの?魚なの、それって?」
「ヨルクなら何でも食べてみると言うかもしれないけれど……」
「あら、生でも醤油をつけて食べると美味しいらしいですよ。漁師でもないと機会はありませんが。私は茹でた刺身もコリコリしていて好きですよ」
部屋に戻って経緯を話していたところ、フェザーのみが同意してくれる。
『やっぱり風花の中つ国は日本的なところがあるのかしら。ますます楽しみね』




