海の魔物3
“飛魚”の群れの場所を越えたのか、新たに飛んで来ることが無くなったところで≪氷壁≫を順次取り消して行く。
それと並行して、シミリート達が甲板上に取り残された“飛魚”のトドメを刺して行く。
「怪我をされた方がいらっしゃるようですが、回復魔法を行いましょうか」
「本当か?助かる!旅の最初からポーションを使わずに済む。ちゃんと相場を払うから」
ドロテアにシミリートが付き添って、怪我の度合いに応じた銀貨を受け取りながら初級≪治癒≫中級≪回復≫を使い分けていく。
基本的には≪治癒≫で済むぐらいの軽傷者が多いようだった。
「いや、助かった。俺達はこの船専属で護衛に雇われている冒険者だが、あんた達は乗客だよな。こんなに頼もしい人達が居てくれて良かった」
「その言い方だと、いつもはこんな感じじゃないのか?」
「あぁ、ストローデ領が出航制限をする前はこんなに魔物が居なかった。しばらく間引くことが出来なかったから増えちまったのかもな」
「そんな」
「あ、言いそびれていた。俺の名前はアーロルフだ。こいつらのリーダーをしている」
「俺はシミリート。“選ばれた盟友”という7人パーティーのリーダーだ。風花の中つ国までよろしく頼むな」
「安心して任せておけと言えない様をさらしてしまったが、まぁ船旅のことなどは遠慮なく聞いてくれ」
男性部屋には、今回の航路復活での商機を狙っている商人が相部屋で居るということで、仲間だけの女性部屋に集まっている。
「そんなに大変だったんですね。往路のイメージで船に不慣れな私達は参加しない方がと思っていたのですが」
「いや、フェザーの言うように、揺れる船の上で踏ん張って防御や攻撃をするのは大変そうだったよ。たまたまユリの≪氷壁≫の効果がある相手だったから良かったけれど」
「こんなにトリアンに近いところなのに魔物が増えているってことは……」
「カミラ、余計なことは言うなよ」
「じゃあ、違う話で。その魚って食べられるのか?」
「魔石を取った後の死体はコックが引き取ってくれたから、夕食にでも出て来るかもな」




