魔道具2
月末のダンジョン改変に伴う騒動が終わり、街も落ち着いたところで、ユリアンネは魔道具屋に足を運んでいる。
ガラクタ市で入手した特殊効果がある羽根ペンの詳細を確認するためである。
≪簡易鑑定≫の結果でも高級下位の品であり、特殊効果を考慮しないその品質の意味だけでも、一括購入した羽根ペンのなかで一番良い物ではある。商売道具として目が肥えたオトマンからも良い品と言われているが、ユリアンネもオトマンも特殊効果の内容までは分からないため、下手に使わずに専門家である魔道具屋に来たのである。
魔道具は使用者が魔法の発動をすることなく魔力による魔法効果を得る道具である。
高い圧力で生成される宝石は魔力との相性が良く、ペンダント、ブレスレット、指輪などのアクセサリー、ジュエリーとしての形状の物も多い。それ以外の魔道具としては需要の関係か、武器や防具も多い。
魔法発動体の杖なども、魔法効果を高める魔道具の一つである。魔力を込めると炎をまとう剣のような魔剣と呼ばれるものや、使い切りの強力な魔法を込めた指輪など戦闘に使用するもの、魔力を込めると光り続ける光源など生活を便利にするものなど色々なものが存在するが、基本的に安い物は無い。
これらの魔道具は魔法陣を魔銀で刻み込むのが一般的である。例えば光源の魔道具には光魔法≪灯り≫の魔法陣を刻み込み、魔力を供給するための魔石が埋め込まれている。魔道具の製作は、錬金術や付与魔法で行われる以外に古代遺跡などからの発掘品もある。ダンジョンの宝箱から見つかることもある。
広い意味では、魔法回復薬も魔法の発動をすることなく回復魔法と同等の効果を得られるものなので魔道具と呼ぶべきかもしれないが、あまりそう呼ばれない。
確認結果として呪い等は無く、インクが不要で魔力消費で書くことができる羽根ペンとわかった。さらに、このペンで書いたものは魔力を込めながら羽根部分で軽くなぞるだけで消すことも可能であるという。
写本だけでなく、ダンジョン探索における地図の製作やメモなどにおいて書いたものが消せるというのは非常に便利な物である。
まさに掘り出し物をまとめて安く譲って貰えたことに感謝し、それ以外の文房具と合わせて大事に使うことを心に決めるユリアンネであった。




