海の魔物
「何?何か騒がしくない?」
客室の中でそれぞれの用事をして暇を潰していたのだが、どこかから怒号が聞こえてくる。
「船の中で喧嘩が始まった、わけでもないみたいね」
「ちょっと様子を見てくるね」
暇を持て余していたカミラが率先して確認に行く。
「あのね、王都の手前、ローニョレ領の大きな湖のところで飛んでくる魚が居たじゃない。あんな感じの魔物が襲って来ているの」
「え?トリアンを出発してそれほどの距離じゃないのに魔物?」
「まぁ陸だけじゃなくて海にも魔物は居ると思うけれど。護衛の人達が仕事をしているのよね?」
ユリアンネは客室の小さな丸い窓から外を見てみるが、その魔物らしきものは見えない。
「うん、護衛の冒険者みたいな人は甲板に出ていって、船乗りの人達は逆に船の中に避難して来ていたわよ」
「カミラが邪魔だったんじゃない?」
「それがね、通常よりも魔物の数が多いらしくって。手伝って欲しいって言われたの。相談してくるって戻って来たの」
「それを早く言いなさいよ。カミラはシミ達の部屋に声かけに行って」
「手伝うの?」
「長旅の始まったところで船が傷んだら怖いじゃない」
まず様子を見てみないとどう手伝えば良いのか判断がつかない。杖を手に通路から甲板に走って行くユリアンネ達。
確かにあのローニョレ領都バーアンの手前の川で見た、ピラニアが飛魚みたいに翼になるヒレを持った感じに似ているが、それよりもかなり大きい。それぞれが自分の片足ほどの大きさがある。
魔物同士がぶつからないためか、いずれも左舷から右舷に向かって飛んでいる。




