トリアンの住民慰撫
「はぁ、ようやく落ち着いて来たわね」
「あぁ、そうだな」
隣のルオルゾン領から来た軍勢が、独立派を破ってからしばらく経ったある日。
この秘密基地にいた王国魔術師団の面々は、小山の領主館に移動している。
領主のインリート侯爵夫妻、そして嫡男デレックはお付きのゼバスターと共に領主館の離れに戻って行った。
ようやく“選ばれた盟友”の仲間だけの“秘密基地”に戻ったのである。
「そうだけど、俺達だけになったのを見計らって、隣近所から苦情が来てしまったよな」
「そうよね。確かに夜に襲撃があって撃退したり、明らかに貴族らしい集団がやって来たり。この辺りではありえないぐらいゴタゴタしちゃったものね」
「ちょっと居心地が悪くなったけれど、お詫びの品を持って謝ってまわったし、しばらくすれば落ち着くんじゃない?」
「カミラは楽観的よね」
「それより、みんな実家に顔を出したら同じようなことを言われたんじゃないの?」
「う!いつまでここに居るのか?ってこと?」
「適当に誤魔化して来たけれど」
「独立騒動も落ち着いたら、家に帰ってこないのか?と言われたわ」
シミリートが衛兵団で聞いてきた情報によると、ワイスブロット中隊長達の王国騎士団も今は領主館に居るらしい。トリアンの西や、北の小山で発見されていたのはやはり彼らだったらしいが、その後は東の海の方で隠れていたらしい。トリアンの街中に入れる格好も入手できず困っていたところに、戦闘が始まったので駆けつけて来たが、すぐに騒動はおさまっていたので剣を振るうタイミングもなかったとのこと。
とはいっても王国騎士団の中隊であり、フェルバー達の王国魔術師団の中隊と共に、領主館にてお世話になっているらしい。その話だと、ようやくまともな食事になって安心しているのだろう。手柄を立てた魔術師団との比較で肩身は狭いだろうが。




