秘密基地の混雑2
「なんだここは」
「ですので、事前に申し上げていたのですが」
「もういい、屋敷の中に入れば良いのだろう」
ルオルゾン伯爵は、目立たないようにと言われて騎乗で移動して来た。ただ1人で来られるわけもなく、アナスガー子爵、そして案内のフスハイム子爵、デレック達を入れるとそれだけで10騎ほどの集団になる。
「一部だけついて来て、残りはそのあたりで待機しておれ。勝手についてきおって」
ストローデ領に攻め込んで来た隣領ルオルゾン領の領主である伯爵を少人数で移動させて何かあったら、となるのは仕方ない。
ただ、この秘密基地には王国魔術師団員達10人以上も駆けつけて来ており既にいっぱいなのである。
結局、屋敷の中にまで入って来たのはルオルゾン伯爵、アナスガー子爵、フスハイム子爵、デレックの4人だけであるが、その人数だけでも客間のインリートのベッド脇に立たせると狭い感じである。
「確かにインリート侯爵のようですな。かなり憔悴されておりますが」
「これは、ルーベルト伯爵。起き上がることもできない失礼を許して欲しい」
「このような状態で、弟が独立騒ぎを起こして何もできなかった、ということですかな」
「いえ、父は毒を盛られて寝入っていたのでその独立騒動も知らなかったのを、昨日解毒してから教えました。その責任は嫡男である私にあります」
「デレック、まだ家督を譲ってもいないお前では責任を取れない。まだ命があるうちに、私の首をとってくださらぬか。お願いします、ルーベルト伯爵。隣領で色々と揉め事もあったと思いますが、長い付き合いの最後として」
「は、こんな空気の悪いところに長居したくないわ。アナスガー、帰るぞ」
ルオルゾン伯爵とて、この親子の命で今回の責任を取らせることが、モンタール王国の今後のためになるとは思えない。しかし、その決定権は王都にあるため、言質を取らせないために去るしかなかった。




