ルオルゾン領軍
「で、小山の方はどうなっているんだ?」
「は、こちらも無事に陥落できたようです。ただ、国王を称していたインガルズ領主代行、そしてインリート侯爵のどちらも発見できなかったようです」
「何?」
「女人や子供に手荒なことをしないように指示しておりましたが、顔まできちんと確認はしたので紛れ込んだとは思えず。インガルズの妻子達は捕まえておりますので」
トリアンの西に陣を構えているのは、トリアンのあるストローデ領の西にあるルオルゾン領主のルーペルト・バーデ・フォン・ルオルゾンである。
「仕方ない。このままトリアンに入ると住民に混乱を招くから、軍勢はこのまま街の外で待機だ。アナスガー子爵、何人かと一緒についてこい」
「は」
吸血鬼モラクが妻になりすましていたフスハレの街の代官であるアナスガーである。始祖吸血鬼ニキシオンを使っていたのはインガルズ達の独立派との認識であるので、独立派を殲滅したい気持ちを押し殺し、住民に罪はないと言い聞かせて従軍している。
「では、デブレンツ・ルロッテルン準男爵、案内を頼む」
アナスガーが指名したのは、トリアンの西で迎撃軍に居た者ではあるが、そもそも独立反対派であったので王国軍が到着したのが判明した途端に降伏した1人である。
王国軍とは言うものの、実態はルオルゾン領軍であった。フェルバー達の手紙が順次届いており、準備を整えていたのである。また、だんだんモンヴァルト山脈の魔物の数も減ったことに気づき、冒険者も雇いながら山脈を突破して来たのである。
フェルバーからの手紙で、トリアンまでの各街の動向も認識しており、できるだけ途中の街には近寄らずにここまでやって来たのであった。




