名無しのデン
「ユリ達の活躍の話はわかったわよ。でも、そちらの方々はどういうこと?」
「は、私はゼバスターと申します。こちらのお名前を申し上げることができない方のお世話をいたします」
「流石に名無しというのは困るだろうから、デンとでも呼んでもらおうか」
「名無しのデン様ね」
「それは良いな。ははは」
「……」
「で、あの猿芝居にどこまで付き合えば良いのよ?」
子爵家での治療行為を終えて“選ばれた盟友”の秘密基地に帰って来たユリアンネ達。ただ、おまけが2人ついて来ている。
「あんなのどう考えても、このトリアンの侯爵家嫡男のデレック様ってことでしょう?子爵家で毒騒ぎがあったからここに避難させるってことでしょう?」
「カミラ、流石だね。わかっているね」
「シミ!そういうことが言いたいんじゃないのよ」
「いや、分かっているよ。ただ、あのまま子爵家の屋敷に居て貰っても再び命の危険があるだろうし、小山の領主館はデレック様にとっては叔父のインガルズ様が国王を称して我が物にされているから居場所は無いだろう?」
「だからと言って、何もここに」
「ここならば、事情を知らない人にバレる恐れは無いよね。それに護衛としても頼もしい人達が多いのと毒にもすぐに対処ができる、と子爵家と衛兵団の両方から依頼をされてしまって。冒険者ならば護衛任務を受けるようにと」
お付きの男性のゼバスターは20歳ぐらいで自分たちより年上のようだが、デレックは12歳ぐらいで年下であり背も低く庇護しないといけない気分にはさせられる。
成人してもいない子供なのに血縁から命を狙われるのだから、と。
「ま、2人くらい料理を作る相手が増えても大丈夫だよ」
ジーモントが空気を変えるために発言してくれることで、今更拒否はできない事実を受け入れる仲間達。




