トリアンの書店仲間3
魔導書2冊を購入した経緯があってしばらくすると、急に“輝星の武器庫”を訪れる書店員を名乗る者が増えた。
流石に単純に断ることもできないので、シミリートの母や兄たちも一応は丁寧に要件を聞くが、
「ここに来ればユリアンネちゃんに会えると聞いたんだけど」
という軽い男たちにはお引き取りを願うことにした。
「それはご迷惑をおかけしてすみません。おそらく古書交換会でもナンパのような声かけをしてきた人たちかと思います」
「業界に顔を覚えて貰うためにフードとマスクをせず素顔で行ったんでしょう?じゃあ仕方ないわね。私も若い頃には……」
「お袋の昔話はもう聞き飽きたから」
「なんだい、もう。で、前回みたいにまともな話と思われる伝言だけ聞いているよ。下手にラルフさんの店舗を知られるより、うちの武器屋を窓口にしてくれて良かったよ。ここには腕の立つ常連さんも多いからね。そこはこのバカ息子を褒めてやろう」
「何から何まで、ありがとうございます」
母と息子のじゃれあいもある程度は素直に笑いながら受け止められるようになったユリアンネ。
「ユリ、どれにもついて行くからな。勝手に1人で行くなよ」
シミリートの押し付けではあるもののありがたい申し出の通り、それぞれに対して戦馬に乗り2人で訪問していく。
どこの書店でも魔導書の徴集はあったようで、無料で供出するぐらいならば、と安く譲ってくれる。ユリアンネが既に修得済みの魔法もあったが、そこは区別なく買取をしたことで、今後の声かけも約束してくれる。
訪問したどこも魔導書の取り扱いの話はあったが、一部ではユリアンネの今後の心配ついでに自分のところに来ないか?と言う声かけもあり、それはシミリートがしっかり断っていた。
「で、新たな魔法はどのくらいあったんだ?」
「そうね、まずはこの中級光魔法≪照明≫。旅の途中で魔術師団の人も使っていた魔法ね。その逆の中級闇魔法≪夜霧≫。そして中級風魔法の≪消音≫ね。色々と使い道もありそうな魔法だわ」
ユリアンネの嬉しそうな顔を見られて安心するシミリートであった。




