衛兵の帰郷報告3
「状況は少しわかりましたが、オトマンさんのことはどう繋がるのでしょうか」
「そうだな。シミたちがトリアンを出るきっかけになったクラン、“蒼海の眼”の表部隊は一通り捕縛した。シミたちがモンブロワに向かったときに二人紛れ込んで暗殺未遂があったことも聞いている。すまなかったな。だがそれもあり、表向きには壊滅させることができた。ただ、“闇ギルド”に流れた者もいる」
「あのヴァレマンとリリアンナという男女二人からも“闇ギルド”の単語があったそうです」
「このトリアンで、その“闇ギルド”と繋がっているのがエードルフ・シャイデン男爵と言われている。彼の私兵には“闇ギルド”所属の者がいると見られている。そして男爵は、独立宣言のタイミングでその私兵を中心に徴集を始めたのだ。」
「そんな略奪行為を許して良いのですか!?」
「徴集そのものは臨時納税で制度として間違えてはいない。ただ限度を超えた略奪行為は許せない。それもあり、主に独立反対派の衛兵団と、彼の私兵には何度も衝突が発生した。
領軍の中でも近衛の金虎騎士団は、領主代行のインガルズ様と嫡男デレック様をそれぞれ守っているが、仲間同士の戦いを避けるために静観している。迷宮で魔物討伐を行う銀虎騎士団は騒動で減った冒険者の代わりにダンジョンに潜る時間を増やしている。
残るのは衛兵団だけだが、治安維持が主目的であり独立派を武力で抑制する立場ではない。ただ略奪など違法行為に対しては対処を行なっている」
「……お二人以外の先輩方はご無事だったのでしょうか」
「あぁ、うちの分隊は大丈夫だったが、残念なことになった隊もある」
「そんな……」
「一貴族の私兵とはいえ、“闇ギルド”の腕利きもいたのだろうし、不意打ちもあったと聞く。だが表立って街の中で戦争をするわけにもいかず、男爵を含めた独立派側も衛兵団を明確に敵にして内戦するわけにいかないので、今は小康状態だ」
「それで、オトマンさんを連行した私兵は?」
「男爵が直接もしくは間接的にいくつか持っている屋敷の一つに連行し拷問していたようで、我々がその屋敷を突き止めたときにはオトマンさんは既に……その屋敷を我々が襲撃したときに抵抗して死亡した私兵の誰かが連行した本人と推測している」




