衛兵の帰郷報告
「シミ!なんで帰って来たんだ……遡及して除隊扱いにすることも考えていたのに」
「いえ、故郷トリアンの状況を耳にしたのに王都でのんびりはしていられないですよ」
シミリートは衛兵の拠点に行き、上司であるマンファン軍曹に帰郷報告を行なう。トリアンを離れる際には、衛兵として在籍しながら視察名目での出張命令扱いをして貰っていたのだから当然ではあるが、それよりも様々な情報が欲しい。
「そうか、オトマンさんのことも聞いたか……」
「連行され、書店の全てを独立派に没収されて、亡くなったことだけを。何があったんですか?」
「俺たちだって、麻薬騒動のときにはユリアンネさん、オトマンさんにお世話になっていたから色々と思うことはあるんだ」
マンファンと一緒にいた先輩セレスラン伍長がつぶやく。カミラが“蒼海の眼”にさらわれたときにダンジョンに一緒に救出に行って貰った恩人でもある。
「セレス、そうは言っても結局オトマンさんを助けられなかったのは俺たちの力不足だ」
「分隊長、班長……」
「シミ、まぁ座れ。今回の件、色々とあるがしっかり教えてやる。その上で身の振り方を考えろ」
マンファンがトリアンで起きている独立宣言による騒動のことを教えてくれる。
「ある程度のことはもう知っているだろうが。
この迷宮都市トリアンが王国に搾取されていると考える不満の声が前からあったのは事実だ。だが、代々の領主様はそれでも王国に属することを選んで来た。今の領主のインリート・テンフルト・フォン・ストローデ侯爵もそこは変わっていない。
だが、侯爵閣下が高齢もあって床に伏すようになって状況が変わったんだ」




