書店の現状2
独立派の一部が、“輝星の武器庫”と“オトマン書肆”に徴集に来ていたことを話すラルフ。
「オトマンさんも逆らわず、求められるまま魔導書を拠出したらしい。でも欲をかいた兵士が他にめぼしいものが無いかを探しに店の奥に入って、調薬の工房を発見らしい。そこでこれは何だ?となり、今は修行に出ている後継者が元々薬師の娘でその子のための場所であると説明。それでも、秘密に調合しているなんて何か違法の麻薬工場では無いのか?と言われ、必死に否定したオトマンさん」
「そんな……」
「そう、正直言いがかりで、その兵士も何か口実を探していただけだったんだろう。公務の邪魔をしたとオトマンさんを連行して行ったんだ。で、この隣の建物にあったものは全て没収されて、いったんは建物も取り壊されて。いつの間にか別の店が出来ていたんだ」
「そうなの。うちが武器屋だから、その隣に防具屋があったら繁盛するだろうって、転居と開店の挨拶に来たお隣さんがおっしゃっていたわ。その没収した人たちのことは全然知らない、全く関係ない人だったみたい」
シミリートの母が補足する。
「で、オトマンさんは!?」
黙るラルフたちを見て理解してしまうユリアンネ。
「ユリ……」
隣に座っていたアマルダがユリアンネの肩を抱きしめる。ラルフも横からユリアンネの手を握る。このためにラルフとアマルダはついて来たのだ。
シミリートとドロテアは何もできずユリアンネが静かに泣くのを見守るだけである。
「男ばかりのむさ苦しい家だけど、うちに泊まっていかないかい?」
シミリートの母が声をかけてくれるが、ラルフは首をふり答える。
「先ほど空きを確認した“満月の宿木亭”に連れていきますね」




