フスハレからの再出発
不死者ダンジョンで思いも寄らない吸血鬼との遭遇や魔導書の入手もあったが、街に戻ったその翌日にはフスハレを出発することになる。
「今度こそモンヴァルト山脈を越えてストローデ領に入れるかな」
「今回は、騎士団は居ないけれど金級冒険者のエックハルトさんたち冒険者もいっぱい居るから大丈夫だよね」
「トリアンの状況も心配だしね」
親たちの状況が心配であることはなるべく隠すようにしているが、それぞれどうしても考えてしまう。一瞬暗い感じになりかけたが、ニキアスの出発の発声で東に向けて動き出すので周りへの警戒に思考は移る。
「この平原は大丈夫ですかね。そして森ではやはりハイオークたちに遭遇しますかね」
「冒険者たちが自分たちの実力に合わせて狩っているので、酷いことにはなっていないと思いますが」
集団の真ん中ぐらいに居るはずの副官ニキアスが先頭にいるシミリートのところに来て話している。
「ほら、この平原では角兎程度ですよ」
「前回、魔術師団員たちは調子に乗って実力以上に強気に行ってしまったことを、必要以上に反省して今度は萎縮しているようなのです」
「それはそれで困りますね。角兎くらいから復帰に向けた練習をして貰いますか?」
「そうですね。少しくらい時間がかかってもこの後に失敗するよりは……」
「みんな、角兎を1羽ずつ仕留めてくるように!自分の食事だから、焦がし過ぎないように!」
理由を直接的な表現はせずに上手い言い方をするとシミリートは横で感心している。
「話を合わせるために皆さんもお願いしますね」
ニキアスに言われて角兎を狩りに行くユリアンネたち。街道の近くは団員たちに残すため少し離れたところまで進む。
『これ、悪魔魔法や死霊魔法の練習台にちょうど良いわね』
ユリアンネは思いつく。万が一でも口にすることがあってはいけないので流石に≪毒≫≪病≫の魔法は使用しないが、≪睡眠≫魔法で眠らせて捕まえることで痛んだ部位のない死体をいくつも入手する。




