クロリスからの急報
「お帰りなさい。北、ビザリア神聖王国に対して活躍されたようね」
メモを見たユリアンネとシミリートの2人がいつものように代表してクロリス商会を訪問している。
「はい、クロリスさんに魔導書の写本でも協力頂いたりしたおかげです」
どこから情報入手しているのか確認する気にもならない。有名な商会であり、いろいろな手段があるのであろう。
「そう、その伝手で知ったことがあるので急ぎで来ていただいたのよ」
簡単に心の中を読まれて驚く2人。
「北のビザリア神聖王国は本気でもなかったようでキリがついたけれど、南の真モシノム大公国とはまだ戦争中なの」
「もしかしてそちらに何か?」
「いいえ、まぁおそらく関係はするのですが。良いですか、まだ世間では知られていないので内密に。ストローデ領が独立戦争を起こしました。以前からもトリアン迷宮や港からの収益を王国に召し上げられるだけであると不満が出ていましたが、まさか、です」
「え!?」
「はい、お二人の出身の迷宮都市トリアンを含むストローデ領です。王領の南北が侵略を受けたタイミングですし、両国と連携しているのは確かでしょう。鎮圧のための軍勢が急ぎ準備されると思います。北のビザリア神聖王国を追い出して戻ってきた部隊を中心になるでしょう」
「……」
頭が追いついていないので、言葉が無い。
「その軍勢も流石に今日明日の出発ではないと思います。再び皆さんにも声がかかるでしょうし、身の振り方を含めて心のご準備を。如何様にされるにしてもご協力させて頂きますので」
「ありがとうございます……」
かろうじてお礼を言えた後は、父ラルフと姉アマルダ、師匠オトマンだけでなく色々な人の顔が浮かび、大丈夫なのか不安になるユリアンネ。
ストローデ領の衛兵であるシミリートも家族の心配だけでなく、自身の立場としても色々と不安がわいてくる。




